小児科ブログ
医師のキャリア教育
2022/12/14
こんにちは。小児科医キャリア20年を超えてしまった藤澤です。
このところ、男女共同参画的な仕事をいくつか割り当てられています。浜松医科大学の女性医師を対象とする女性医師支援センターという組織の委員、静岡県の女性医師のキャリアを支えるふじのくに女性医師支援センターのお手伝い、日本小児内分泌学会の男女共同参画・ワークライフバランス委員会の委員長などなど。
私が医学生だったころは、授業といえば直接医学に関わることに終始していましたが、現在は「医学概論」という科目で、様々な角度から医学生を教育することが行われています。私は、女性医師支援センター委員ということで、毎年4年生に対して、医師のキャリア形成をテーマとした講義を行っています。国家試験に関係しない授業ではあるのですが、思ったよりも学生からの反応がよく、アンケートにも積極的に回答が帰ってきます。今日は、講義の内容を一部紹介します。
最初に、医療系ドラマの出演者に注目して、医師のイメージの変遷を感じてもらいます。そのあと、多角的に学生に考えてもらうことを狙ってさまざまな話題について触れています。東京医大の入試の点数操作などもテーマにします。
最後に、アクティブラーニングとして学生に考えさせるテーマを与えて、グループディスカッションをしてもらいます。
今年は、学生にとってリアルでどきっとするような「あるカップルの会話」を題材にしました。こんな内容です。
設定:
Aくんは、浜松医科大学の5年生、救急か外傷外科を目指しています。出身は、神奈川県です。
Bさんは、浜松医科大学の5年生。産婦人科を目指しています。出身は静岡県浜松市。自宅から通学しています。2人は、お互いに卒業したら結婚する予定です。
今日は、臨床実習もひと段落したので、半田山のスターバックスで国家試験の勉強をしています。
2人の会話:
A: やっぱ、初期研修は有名どころでやりたいよな。関東方面だと、亀田総合病院とか有名だよな。横浜労災とか聖マリとかもありだよね。そのあとの後期研修もその辺がいいよな。
B: 。。。実家のちかくのほうが将来的にいろいろ助けてもらえそうだから、ハマイにしようかな、って思ってるんだけど。。。。
A: え、親に何を助けてもらうの? メシなんて外食でしょ、別に困んないじゃん。ハマイじゃ地味じゃね? オレBも関東方面考えてくれてるんじゃないか、と思ってたんだけど。。
B: 。。。だって、Aは、救急とか外傷とかやりたいんでしょ。忙しいから帰ってくるのも、きっと遅いよね。。。。結婚したら子供も欲しいし、そうなったら親にも助けてもらわないと、仕事続けられないよね。
学生への質問
1 この会話を聞いて、あなたはどのように感じますか。
2 この会話の続きを考えてみてください。
3 あなたがAくんだったら、Bさんについてどのように思いますか。
4 あなたがBさんだったら、Aさんについてどのように感じますか。
といった感じです。結構盛り上がりました。「先週、同じ会話を彼女としたので、ドキッとしました」なんて意見も。意外だったのは、Bさんももっと仕事を頑張ることを考えて欲しい、という意見が男子学生から複数出ていたことです。「ハマイは地味じゃないです!」という声も結構上がっていました(笑)。